
1977年1月に出版された梅原猛の本です。
画家・三橋節子の作品をその短い人生とあわせながら解説し、最期の時までを客観的にえがいた伝記とでも言うのでしょうか。
病気で右腕を失い、左手で描いた画が入選した節子、人々は再起といったが、梅原猛氏は、
「厳密にいえば再起とはいえない。なぜなら、右腕切断後のこの二作は、今までの節子の画よりはるかに優れているからである。全く新しい芸術の世界が、節子の前に、開け始めていたのである。再起どころか、節子は右腕を奪われることによってはじめて、真の芸術家になったのである」
亡くなる時の様子が、関係者の日記などを通して克明に記されている。こうして人は亡くなっていくのかと、しみじみ思う。